金額なりの品質なのか?
いつもありがとうございます。ブライダルリング専門店ラムールトゥジュールの船越です。
さて、今日は多くの人が誤解していることについて書いてみたいと思います。
結婚指輪のペアって、今や30万円前後は普通にするし、40万円も珍しくないじゃないですか?
それくらいの金額を払って購入するものだから、そんな変なものなんてある訳ない、それなりにちゃんとしたものに決まっているはず、と皆さん思っていると思うんです。
例えば、3万円で買えるギターと15万円するギターが同じクオリティのはずないと思うでしょ?
ですよね?
でも、ブライダルリング業界は、意外とそうとも限らないんですよ。
ギターの場合は、使用するパーツ数が多い分、組み立て工程も多いんですよね。
各パーツを良いものにすればパーツ数が多い分金額は掛け算で増え、組み立ても調整工程が多いので、手を掛けようと思えば幾らでも出来るし、そうなれば人工(にんく:1日に発生する人件費のこと)が増えるので、3万円と15万円では、価格差同様、出来栄えがかなり違って来るんです。
ですが、結婚指輪の場合、材料は、金属とメレダイヤだけです。
プラチナは、純度の違いで90%と95%がありますが、プラチナ以外の部分に混ぜられているパラジウムが高騰している現在は、価格差がないも同然になっていますし、
メレダイヤも白なら、カットの良いハート&キューピッドと、ノーマル(GOOD)くらいはありますが、価格は倍も違いませんからね。ダイヤが付いてないならそもそも関係ないですしね。
製造工程もそんなに単純ではないものの、ギターの製造工程に比べると大分少ないと思いますね。
私が買った30年前は、結婚指輪一本が精々2万円前後だったことを考えると、一本12万円以上が当たり前の様な今は価格が6~8倍くらい上がっている分、品質も6~8倍上がっているかと言えばそんな事ないんですよね。
勿論、設備や技術が全く向上していない訳ではないので、30年前と全く同じ品質ではないんですが、価格と同じ様な倍率での向上はしていないと思いますね。
だから、極端な言い方になりますが、15万~20万円という金額なりの品質になっているかと言えば、品質については2万円の頃と大きく変わっていないと言った方が近いと思います。
実際に、下手な職人さんが造っているものを見ると、下手丸出しだったりして『おいおい、お客さんは幾ら払うと思ってんだ?』と言いたくなるくらい酷いものがあったりしますからね。
職人さんの腕前もありますが、それがお店に納品されてくるってことは、製造企業の品質管理体制や出荷検査体制とか、そもそも品質における水準とかね、これで良いんですか?って気がしますよね。
ジュエリー業界に限らずですが、世の中は昔より、あくどい商売を平気でしている企業や効率だけを追い求め中身の薄いものを造る企業も増えている様に感じますしね。
利益重視で高額なものを販売するに当たっての大事な事がおざなりにされている感が否めないですよね。
ナショナルブランドの様な大企業は別ですが、ジュエリー業界なんて殆どが中小企業なので、何かあった時の言いぐさや、対応にも驚く様な事が本当に多い世界なんですよ。(良くない意味でです)
だから結構な金額のお買い物だからと言って、ちゃんとしている『もの』かどうかは別な話なので注意して頂いた方が良いと思いますというお話です。
この業界はそんなもんなんだ…と割り切れたら、私もきっともっと楽なんでしょうけど、ブライダルジュエリーの業界に参入して20年近くなりますが、そういう所に未だに慣れません。人としてそうはなりたくないですしね。
なので当店は、お客様に変なものを渡してしまわぬよう、お客様の手に渡るまでの最後の砦として、取り扱いブランドの選択も、納品物の検品も、細心の注意で取組んでいます。
私一人が声を上げたところで業界全体を見れば何も変わらないのと同じだと思いますが、本ブログや当店に出会って下さった方の内、一人でも救えたらと思って今日も明日も踏ん張っていきたいと思います。
ちなみに、誤解の無い様にお伝えしておきたいと思いますが、世の中には、品質がちゃんとしているブランドもあるし、ちゃんとしている分、価格は高額になっているけど、しっかりと金額に見合うだけの品質になっているものもありますので、全部が全部良くないという事ではないですから、その点は誤解の無い様にお願いしますね。
言いたいことは、高額であれば、品質もそれなりに良いものだと思い込みがちですが、必ずしもそうとは限らないし、ブライダルリングの世界は意外と金額なりの品質でもないことが多めな気がするので、注意してねと言う意味ですからね。
千葉県成田市より愛を込めて。